帰国するまで約3週間。残りの日程で出来る事を真剣に考えなくては無駄に過ごす時間が増えたり、行こうと考えていた所にも行けないまま、旅が終わってしまうかもしれない。
オーストラリアに到着して、パースの街を何も考えずに歩いていた時は行きたいと思えば、いつでも行けるような気がして後回しにした場所がいくつも有った。そして、のんびりしていたせいで、後でと考えていた“その場所”に行けなくなった事は明白だった。さすがに、それは残念な事をした思った。それは人生を振り返っても同じことが言えた。後回しにして、結局やらなかった事がいくつも有った。
僕は、そこから学びを得た。「旅先で行きたいと思った全ての場所に行くことは無理」と。
まあ、無理かもしれないけど、辿り着くための努力はしようとは考えている。
以前書いたように、キャサリン(Katherine)のホステルでのんびりしていると、渓谷を見に行こうと何度か誘われたが、丁重にお断りした。知り合った人に勧められたから、ここに来たのだが、積極的に出かける気分ではなかった。只々のんびりしていたかった。
後で知ったのだが、綺麗な渓谷のようだったので、元気があれば行けばよかったのにと、今は思っている。
考えると、キャサリン滞在した数日は、ずっと脱水状態だったように思う。気温は高いのに湿度が低いせいか、汗をかいている自覚もなく、全く自分の状態に気がつかなかった。ただ、いつも喉が渇いている気がしていた。その頃の僕にとって水分取得のプライオリティーは低く、積極的に水分を取らなければならないなんて少しも考えていなかった。旅費を節約しなくてはと遅まきながら考え、飲み物を買う事を控えていた。水を飲むことさえ、我慢していた。なんと愚かな!!!
運良く、熱中症にもならず、数日のんびりした後、現金が無くなってきたので、残り少ないトラベラーズ・チェックを換金するため町に出た。
そこで僕は驚愕した。この日ノーザン・テリトリーはレイバー・デイだったので銀行や商店は閉店していた。
祝日だ!
驚いたのはそのことではなく、どこかで会った旅行者から気をつけたほうがいいよとアドバイスしてもらっていたのに、すっかり忘れてカレンダーも確認していなかった自分の「愚かさ」に驚いた。
驚いてばかりでもいられない、このままではホステルの宿泊代も払えない。5秒くらい真剣にかんがえて、大きな観光地に向かって出発することにした。トラベラーズ・チェックを使える可能性が高い所へ行こう。
急いでユースホステルに帰り、荷物をパッキングし、町に戻ってきた。結局、徒歩で1往復半、1時間半くらい歩いたんじゃないだろうか。無駄すぎる。まあ、途中で写真を撮ったりして(急いでいたのに?)楽しんだので、こんな急展開も面白いなと思っていた。呑気な奴だったね。

結局、キャサリン滞在ははその辺を歩いたり、少し涼しく感じる木陰の川辺でのんびりして過ごしただけとなった。でも少し元気にはなっていた。
町についてまず、マタランカ(Mataranka)のユースホステルの宿泊予約を電話でしようとしたが、YHからしか受け付けていなかった。また、やってしまった。何度めだろうか。
あきらめて目的地をアリススプリングス(Alice springs)に変更して、バスを予約したが、2時間ほど待つことになった。開いている店もほとんど無く(現金も無く)、インフォメーションセンターの前で千羽鶴用の折り鶴を作リ続けた。おかげで、かなり完成に近づいた。
バスの中でも、折り鶴を作っていたら、隣に座っていた男性が折り鶴を欲しがったので、鶴とかえるを作ってあげた。話を聞いてみると、彼はパースからアデレードまで5日かかってヒッチハイクしたらしい。すごいと思った。僕は長距離バスに乗って何気なく通過してしまったが、ヒッチならもっと面白い経験ができたんじゃないだろうか。そんな経験をしている彼が羨ましかった。彼の顔が活き活きとしているように感じていた。
この旅でも、僕がやろうとして、しなかった事を、経験した多くの人に出会った。話を聞くたびにちょと後悔した。人生を、もう少しカラフルなものにできたかもしれないのにと。
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