
安宿にチェックインし、シャワーを浴びて街に出かけてみた。
そこで面白い少年2人組に出会った。彼らはお金を持っていなかったが、働く気もなく、生活保護を受けていると言っていた。学校も行く必要ないと言っていたが、年齢は15、6歳に見えた。彼らの親が生活保護をうけているのだろうか。彼らに「働かなくてもお金がもらえるのに、働くなんてばかげているだろう」と力説されてしまった。
僕はみんながそう考えて働かなくなったら困るんじゃないって聞いてみたが、彼らは「そんな事にはならないから大丈夫」と言うだけだった。
今の生活で満足している? 不満はない?と聞いてみたが、「なんにも問題ない」と返してくる。そうなのかもしれないけど、彼らの事も「No worries」で片付けていいのだろうか。
こういう少年たちがこのままで良いだなんて言うことに疑問を感じた。オーストラリアで親しくしてくれた知人から、働かない人が増えていると聞いた事が有ったが、彼らのような少年が働く気がないと言っているのを聞くとは予想もしていなかった。
フリーター(当時はこんな言葉はなかったはずだが)である自分の事は棚に上げ、努力する事の意味や満足感を感じる事について下手な英語で話してみたけれど無駄だった。
大げさだが社会保障の問題を目の当たりにしたような気がした。彼らのやる気をそいでしまったものが何かは、彼らにしか分からないとは思うがそのままにしておけない気がした。
オーストラリアはラッキーカントリーだと僕もよく言っていたけれど、この問題は別だと思った。
彼らはウソを織り込みながら、たくさんの事を話してくれた。
一番印象に残っているのは彼らが連れていた犬のことだ。その犬はディンゴ(Dingo)との混血だと言い、その特徴等を事細かく説明してくれたが、その話も本当かどうか分からない。
ディンゴは古くからオーストラリアに生息する野犬のことらしい。純血のディンゴはとても珍しいらしい。彼らの犬はディンゴの特徴を多く持っていると言っていた。垂直に立った耳が特徴の1つらしい。

ひとしきり話して、最後に少年はこう言った。
「僕らの食事のために4ドル持っていない?(くれない?)」
彼らには好感を持っていた。彼らの話も面白く楽しかったのに台無しだ。
でも、憎めない気のいい奴らだった。彼らのために出来る事は有っただろうか。きっと、食事ではなくビールを買うだろうと僕は思った。
少し考えたが、無駄だと思いながらも「ビールは買うなよ」と言い4ドル渡した。
僕の予想に反して彼らはとても喜んで、丁寧に何度も礼を言い嬉しそうに歩いていった。
お金をあげる事が彼らに良かったのだろうかと考えながら彼らの後ろ姿を見ていた。
そして、僕の財布は確実に軽くなった。残っているのも数ドルだった。そんな財布に馴れてしまったとはいえ、さすがに心許ない。何処かでトラベラーズ・チェックを換金しておこうと、僕も彼らと同じ方向に歩き出した。
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